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組木屋作品紹介 出産祝いに最適な不可能物体っぽい作品

がらがらの木

デザイナー:上田 クラフター:上田

​【今までに制作した樹種】クリ(栗)、サクラ(桜)、ホオ(朴)、パオロッサ、ウェンジ、イブキ(伊吹)、ニガキ(苦木)、ブビンガ、パロサント、トチ(栃)、シナ(榀)、神代ケヤキ(欅)、など

​・「がらがらの木」とは

一片の材からできた、一木造りの「木のガラガラ」です。

一度割って接着する、といったことはしておりません。

不可能物体的な作品ですが、「赤ちゃん」にはその不思議さは理解できません。

大きくなって、いつかのタイミングでその不思議さに気が付いたとき、ちょっとした感動を覚えてもらえるんじゃないかな、と、ほのかに期待をしています。

※一木造り(いちぼくづくり):木彫り技法の一種。元々は仏像彫刻で、一本の木材から像の主要部全体を彫りだすものを呼ぶ。それに対して、複数の木を寄せ合わせて作るものを「寄木造り(よせぎづくり)」と呼びます。

どこか秘境の地に生息するという『「がらがらの木」の木』

深い謎に包まれており、その詳細は誰も知らない、という。(私も知りません)

 

【目次】

がらがらの木とは
​・「がらがらの木」の仕上げ
がらがらの木の仕上げ

「がらがらの木」は基本的に、粗削りの状態で販売(紙ヤスリをセットでお付けします)して、購入者様にて仕上げていただく作品、と位置づけております。

「赤ん坊に与えるものなのに、そんな雑な仕上げなんて、ありえんやろっ」というお叱りを受けそうですが、そう思われる方にこそ丁寧に磨いていただきたいと思います。

贈る人が、赤ちゃんのことを想って、仕上げる」というプレゼントが素敵なのではないか、という組木屋からの勝手な提案です。

 

ショップには、「研磨済み」の(#1000くらいまで磨いている)ものもアップしていますが、見本として写真を撮るために磨いたようなもので、各樹種ごとに1個だけしか作らないつもりです。

「研磨済み」のものでも無塗装、”素地”のままです。

 

「神代ケヤキ」 左が「粗削り」右が「研磨済み」

 

「ウェンジ」 左が「粗削り」右が「研磨済み」

​・「がらがらの木」の磨き方
がらがらの木の磨き方

「がらがらの木」の研磨には、非常に手間ひまがかかります。

「粗削り」の状態でも、持っただけでケガをするほどではないと思いますが、「赤ちゃん」に渡すものですから、ぜひ、”つるつるのてかてか”にしてあげていただけたら、と思います。

 

まず紙ヤスリを適当な大きさに切って、粗目から順番に、中目細目と磨いていきます。

(ベルトサンダーなどの電動工具をお持ちだとしても、それで磨ける部位はごく限られますので、結局ほとんど紙ヤスリを使って手作業での研磨になるかと思います。私としては、手触りをよくするという目的では、紙ヤスリに敵う研磨方法は他にない、と思っています。)

 

紙ヤスリには”番手”(あるいは”粒度”)と呼ばれる数字があります。

これはヤスリの”目”の”粗さ・細かさ”を表すもので、”#240”などと書かれています。

数字が小さいほうが粗く、大きいほうが細かい目になります。

木工では、おおむね#100以下を”粗目”、#400以上を”細目”、その間を”中目”と呼びます。

 

初めは、粗目のヤスリで、形を整えるつもりで。特に角ばったところを丸くするように研磨します。

その番手のヤスリでは「もうこれ以上綺麗にはならず、小さくなっていくだけだ」、というぐらいまで磨いてから次の番手に移るのが、実は効率の良い磨き方になります。(面倒になっていきなり細かい番手で磨こうとすると、出っ張りがいつまでたってもなくならない、小さい傷がいつまでたっても消せない、一部だけつるつるになるけどいつまでたっても粗いところが残る、といったことが起こり、結局粗い番手に戻ることになります。)

樹種にもよりますが、だいたい#400ぐらいまで磨くと、はっきり分かるぐらい”ツヤ”がでてくると思います。あとは、ご自身が満足いくまで、細かい目まで磨いてください。


一日一本映画なんかを見ながら磨いたとして、それを一週間ぐらいつづけると、おそらく「おぉ~!」と思えるぐらい「つるつるのてかてか」になると思います。

 

最後は、刷毛などで木屑を丁寧に落として、渡してあげてください。(天然の木材ですが、木屑をなめるとかなり苦いものもあったりします。その名の通り”ニガキ(苦木)”とか。)

 

研磨は非常に手間のかかる作業ですが、丁寧にやればはっきり結果が現れます。それをただ”面倒くさい”と思うか、なんか”楽しい”と思うかは、人によって大きく違うようです。私自身は非常に”面倒くさがり”な性格ですが、研磨作業は”とても面倒くさくて楽しい”と思えます。

​樹種によって研磨作業の手ごたえも仕上がりも全然違います。それもまた楽しい理由かもしれません。

​・誰が「がらがらの木」を磨くのか
誰が磨くのか

上記のように、非常に手間のかかる研磨作業。いったい誰にしろというのか。

 

①プレゼントとして贈る人

これが一番妥当だと思います。プレゼントに「気持ち」を込めて、「手間ひま」をかけて、お贈りいただけたら、想いも伝わりやすいかもしれません。それで喜んでいただけたら、組木屋としても幸甚です。

ただし、「こんなに手間をかけてやったんだぜ」みたいな押し付けにはならないよう、ご注意ください。

 

妊婦さん。

奥様の経験として、出産前の入院中「あまりにも暇で何をしてよいかわからなかった」ということがあったそうです。その時間に、生まれてくる赤ん坊に与える「がらがら」を磨いていたら、ちょうどよかったかもしれません。もちろん、人によって状況は違うので、プレゼントする側の一方的な想いで送り付けないように、ご注意ください。

 

配偶者さん。

奥様が妊娠、出産、生後の赤ん坊の世話などで大変な時に、夫は何をしてよいかわかならない、何もできることがない、という状況もあるかと思います。そんな時に、生まれてくる赤ん坊に与える「がらがら」を磨いていたら、気が紛れるかもしれません。ただしこれも、人によってどう思うかは全然違うでしょうから、その人の性格をよく知ったうえで。プレゼントする側の一方的な想いで送り付けないように、ご注意ください。

 

④(①∩② or ①∩③)妊婦さんもしくは配偶者さんご自身が購入、研磨して、赤ちゃんにプレゼントされる、というのも素敵だと思います。

 

⑤「みんな面倒くさがりだから、誰も最後まで磨かんやろ」という賢明なご判断をされる場合、数は限られますが(そしてお値段高めですが)、組木屋にて「研磨済み」のものをご購入いただけましたら幸いです。

​・どうやって作っているのか
どうやって作っているのか

研磨以前に、この形はいったいどうやって作っているのか。不思議に思われる方もいると思います。

組木屋としては、「それを考えるのも、組木屋作品の楽しみの一つです」と、お答えすることにしています。

(別にいじわるとかではなく、ほんとに「考えることは楽しい」と考えているからです。)

「がらがらの木」を使っていた赤ちゃんが、いつか大きくなって、その不思議さに気付き、自分で作り方を考えだしたら、素敵ですね。

 

自分で”もの”を作る人ならば、制作可能な方法を、すぐに思いつく人もいるだろうと思います。

そして「でも、その方法やと、めっちゃ面倒くさくない?」と思われるかもしれません。

そのとおり、めっちゃ面倒くさいです。(ご理解いただきありがとうございます。)

 

制作も研磨も、めっちゃ面倒くさいのですが、作っていて楽しい作品です。

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