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メビウスの指輪


作品紹介の第4回は、組木屋の主力商品(としたい)、木のギメルリング「メビウスの指輪」を紹介します。(ブログでは、とりあえずざっくりと書いて、作品紹介のページで順次詳述していきます)

メビウスの指輪

メビウスの指輪とは

一片の木からできた「指輪」です。デザイナーは枝葉さん、作っているのは上田です。

2本のリングが繋がって1個の指輪となっています。指にはめるときに、その2本の組み合わせ方を変えることによって、さまざまな表情を楽しめます。

メビウスの指輪のサイズに関して

「メビウスの指輪」は、デザインの特性上、”サイズが定まらない”というのが大きな特徴です。

「不定サイズ」とでも申しましょうか。いわゆる「フリーサイズ」というものではありません。

試してみないとわからない。そんな「困ったサイズ」です。

にもかかわらず、NET販売のみ、返品も無し、というひどい状況。(誠に申し訳ございません。)

もちろん試してみていただいて購入いただくのが一番良いのでしょうが、実店舗を構える予定はないので、それもできない。(大変申し訳ございません。)

ご購入の際は、サイズがしっくりくるかわからないけど、”賭け”のつもりで思い切ることができるかどうか。そんな商品だとご理解ください。(...本当に申し訳ございません。)

しかし、たとえ指にサイズが合わなくても、ネックレスやイアリングとしてお使いいただいても素敵な作品だと思います。(と、逃げの一手を打っておきます。紐や金具などは、各自お好みのものを入手してください。)

ショップ販売するものには、タグに「S-style」(後述)でのおおよその指輪サイズ(リングゲージ棒で測ったもの)を記載してはいますが、あまり参考にならないかもしれません。

ピンキーリングとしてお勧め

組木屋として「メビウスの指輪」は、(指輪として使われる場合)ピンキーリングとして小指にはめていただくことを(ごく弱く、ほのかに)お勧めします。

その理由としては、主に2つ。

①いろいろな角度から見てほしい

普通の指輪は、基本的には1方向(宝石とかがついている側)から見られることを想定してデザインされていますが、「メビウスの指輪」は360°どの方向からみても面白い、と思っています。ので、できるだけ広い角度から見られる小指にはめてもらうのが良いのではないか、と。

②太さが、かさばってジャマ

2本のリングが繋がっているため、必然的に2か所で重なります。重なる部分でとくに太くなるため、はめ心地は、正直に申し上げますと”悪い”と思います。(個人の感想です。使用感には個人差があります。)

間に挟まれた指にはめるよりは、端っこの小指の方が多少はマシかな、と。

基本の5スタイル

2本のリングの組み合わせ方は無数にあるのですが、そのうち基本的なもの5つに以下の名前をつけました。ショップにも主にこれらの型で撮影した写真を掲載しています。(反対側も見えるように、鏡の前で撮影しているものが多いです。)

①標準型「S-style」

②交差型(白)「X(W)-style」

③交差型(黒)「X(B)-style」

④蝶々型「B-style」

⑤無限型「Q-style」

1枚目の写真の組み合わせ方が、ちょうど左から順に①②③④⑤のスタイルになっています。

詳細はいつか、作品紹介ページで書いていきます。

応用スタイル

上記の「S」「X」「B」のスタイルで、それぞれ、開いたり閉じたり、捩じったり、ひっくり返したり、とさらにさまざまな組み合わせがあります。基本スタイルが比較的リングの内径が大きくなる(指輪サイズが大きくなる)組み合わせなので、応用で捻ったりすると、指輪のサイズとしては小さくなります。少し緩めのサイズではめていただいて、捩じって開いて調整する、という感じで、いろいろ試していただけたらと思います。

メビウスの指輪の仕上げ

木のポテンシャルを限界近くまで引き出すように(というつもりで)一所懸命に磨いています。

樹種によりますが、#1000~#1500ぐらいまで紙ヤスリで磨いて、さらに「バフ」で(研磨剤などは付けずに)仕上げ磨きをしています。

初期の作品は、さらに「蜜蝋クリーム」を塗っていたのですが、#1000ぐらいまで磨くと、もう塗っても塗らなくても、見た目全然変わらない、という状況だったので、最近は”素地のまま”としています。

ご自分でお手入れをされる場合、組木屋としては、指で”きゅっきゅ”と磨く程度でよいと思っていますが、もちろん「蜜蝋クリーム」などで磨いていただいても結構かと思います。

あまり水には濡らさなないほうがよいと思います。

メビウスの指輪のデザイン(タイプ)

形状としては、トーラス(ドーナツみたいな形のこと)を一周ぐるっと捩じりながら切断して、2本に分けたものになります。どれだけ捩じるか、どうやって捩じるか(緩くか、急にか)、どちら向きに捩じるか(右か、左か)、などで違うタイプになります。組木屋は、一周で2πを、だいたい同じ変化率で、右方向に捩じったもの(「Type1」とよんでいる)を、制作販売いたします。他に「-1」「1/2」「0」などのタイプがあり、それぞれさらに細分化されるのですが、制作の手間を考えて、「Type1」で統一しています。それでも、指輪のサイズを単一にしないため、内径と外径をいろいろ変えて作っていて、それだけでもざっと20種ぐらいに分かれます。

各部位の名称

対称性が高く、微妙な形状のため、作っていてもどこがどこだか、本人にも把握できなくなってしまいます。(ちょっと手を離した隙に、「あれ、どこまで削ってた?磨いてた?」となることが頻繁に発生。とくに白太なしで均一な見た目の材の場合が大変。)少しでも把握しやすいようにと、各部位に呼び名を付けています。クラフターの上田以外にはどうでもいいことですが、またいつか詳述します。

「メビウスの指輪」というネーミング

「メビウスの指輪」という名前は上田が付けました。(その他の作品も、ほぼすべて上田がネーミングしています。)Nobuさんから「メビウスの帯ってどんなんか知ってんの?こんぽんてきに違うで」というツッコミをいただきましたが、わかっています。名前はあくまでも覚えやすく、イメージしやすいもの(厳密には間違っていても、気にせず)ということで付けていますので。

「世紀の発明」と思っていたら

「メビウスの指輪」をデザイン・制作して、組木屋としては「これはすごい!世紀の発明ちゃうか」と思い、同じようなデザインがないかと、NET検索でかなり調べたつもりでしたが、特に見つからない。「これは、いけるぞ」と、調子に乗って作品を作っていたのですが...

ところがその後、「ギメルリング」という2本(もしくはそれ以上)のリングを組み合わせるデザインが、中世の頃にヨーロッパで流行っていた、ということを知りました。(それまで「ギメルリング」というキーワードを組木屋の誰も知らなかったため、全然ヒットしなかった。)

このデザインで著作権収入が得られるかもと期待していた上田は、めっちゃ残念で落ち込んだのですが、デザインした当の枝葉さんは「中世ですか。すごいですねー」と、そんだけ。

数百年も前にデザインされていたとは、ある意味「世紀の発明(再発明)」といえるかも。

組木屋では今まで「メビウスの指輪」を一番多く作って(時間を費やして)いるので、その間いろいろ考えてしまい、まだまだ書くネタは尽きないのですが、とりあえずこの程度で「メビウスの指輪」の作品紹介とさせていただきます。

これからも、いろいろな樹種で制作していくつもりです。

#作品