- 組木屋 上田
組木屋ジグソーバブル ほか
今回は、「組木屋ジグソー”パズル”」の亜種「組木屋ジグソー”バブル”」という作品と、”パズル”のほうの変則問題などを紹介いたします。
組木屋ジグソーバブルとは
先日、Nobuさんデザインの「組木屋ジグソーパズル」という作品を紹介しましたが、それを見たはるのさんがピースを丸くした新しいデザインを考案してくれました。本質的には同じパズルです。
組んだ状態だと、丸い泡がいくつも重なったような見た目になりますので、「組木屋ジグソーバブル」という作品名にして、白と水色とで制作してみました。(ネーミングと制作をしたのは上田です。)
「組木屋ジグソーパズル」を知らないで、泡ピースをバラバラの状態で渡されたら、初めは下の写真のような感じで組もうと試される人が多いのではないかと思います。
ですが、ピースがたくさん余ってしまいます。まずは、その本質「凸凹を合わせて、正方形の格子状に並べるパズル」であることに気が付がないと解けません。その分ちょっとだけ、組木屋ジグソーパズルよりバブルの方が難しいパズル、といえるかもしれません。
正方形格子の1辺の長さ(基尺)を1とすると、泡ピースの直径dは「√2≧d>1」の範囲で制作可能です。写真の作品は「d=1.2」で制作してみました。小さくするほど、ピース同士の隙間が大きくなります。
バブルの方が加工がしやすい形状なので、よかったら自作して楽しんで下さい。これも糸鋸盤加工用の図面データを整備してダウンロード販売する予定です。
組木屋ジグソーパズルの変則問題「3×3」
組木屋ジグソーパズルの紹介記事で、「3×3」はピース構成が美しくならない、と書いたら、Nobuさんから次の変則問題をいただきました。
ピース構成は「6種セット」×1なので確かに美しいといえますが。
「3×3」枠の形が、外周ぐるっとすべて凹なのが変則的。
9マスに6ピースを収める、って考えるとずいぶん簡単そうですが、意外とあと一個が入りません。
しばらく試して答えは分かりましたが、若干いぢわる問題っぽいかも。確かにちゃんとおさまるんですけどね。
もっともシンプルだけど大問題「1×1」
以前に「2×3」と「2×2」が、たぶんもっともシンプルだと書きましたが、考えなおしました。
一番の基本はやっぱり「1×1」でしょう。しかし、これもよく考えると大変難しい問題だと思います。
平面的に見ても、けして簡単ではないのですが、立体の場合さらに難しい。
左の写真で、黒いピースに囲まれた空間に、白いピースをはめます。
空間とピースと、それぞれの輪郭を抽出できたとして(右図)、いったいどれがはまるでしょうか?明らかに、どれもはまりそうにありません。
「1×1」の問題を解くためには、空間およびピースの輪郭を把握するだけではなく、見えていない部分を推測し、立体的な形状を予測し、その立体の平面図を認識した上で、回転・平行移動をしてどのピースがはまるのか判断をしなくてはならないのです。
現状のAIロボットでは、この「1×1」の問題を解けるかどうか、ビミョウなところだと思います。2017年に「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ」(2015・2016年は「アマゾン・ピッキング・チャレンジ」という名称だった)という、箱から物を取り出して別の箱に移す大会が開かれたのですが、それを見る限りでは、まだ難しそうかな、という感じ。
人間の子供はこの難しい作業を、(試行錯誤しならがですが)2歳か3歳くらいにはできるようになってしまいます。改めて「人間ってすごいなぁ」と思いました。