組木屋作品紹介 木のギメルリング
メビウスの指輪
デザイナー:枝葉 クラフター:上田
【今までに制作した樹種】カエデ(楓)、パオロッサ、パロサント、カリマンタン黒檀、ウォルナット、スネークウッド、パドウク、ジリコテ、ピンクアイボリー、キングウッド、ペロバローサ、ホンシタン(本紫檀)、シマコクタン(縞黒檀)、ペルナンブーコ、レッドハート、タガヤサン(鉄刀木)、ムラサキタガヤサン、ボコーテ、チューリップウッド、マグロ(真黒)、アオコクタン(青黒檀)、コウキ(紅木)、ビャクダン(白檀)、リグナムバイタ、など
【目次】
・メビウスの指輪とは
一片の木からできた「ギメルリング(双子の指輪)」です。
2本の木のリングが繋がって1個の指輪となっており、不可能物体的な作品といえると思います。
中世ヨーロッパで流行ったというギメルリングは、「2本が外れない」というので、「絆(きずな)」を感じさせて、花嫁への贈り物として人気があったとか。ギマルリング(gimmal ring)、ジェメルリング(gemel ring)、ジマルリング(jimmal ring)といった表記もあるようですが、どれも語源は双子を意味するラテン語からきているらしいです。
一般的にギメルリングは、ある決まった組み合わせ方でカチッとハマるようにデザインされているようなのですが、組木屋の「メビウスの指輪」は、指にはめるときに、その2本の組み合わせ方を変えることによって、さまざまな表情を楽しめます。
組木屋作品の中では、一番丁寧に磨いているもの(「がらがらの木(研磨済み)」が次点。)なので、銘木の魅力を感じていただきやすい作品だと思っています。
これからも、いろいろな樹種で制作していくつもりです。




・どのデザインがお好きですか?
突然ですが、1つ目の質問:下の写真でどれとどれとが同一の指輪でしょうか?
(枠にポインタを当てて見てください)









1つ目の質問の答え:すべて同じ。1個の指輪です。
2つ目の質問:どのデザインがお好きですか?
・メビウスの指輪のサイズに関して
「メビウスの指輪」は、デザインの特性上、”サイズが定まらない”というのが大きな特徴です。
「不定サイズ」とでも申しましょうか。いわゆる「フリーサイズ」というものではありません。
試してみないとわからない。そんな「困ったサイズ」です。
にもかかわらず、NET販売のみ、返品も無し、という無理な状況。(誠に申し訳ございません。)
もちろん試してみていただいて購入いただくのが一番良いのでしょうが、実店舗を構える予定はないので、それもできません。(大変申し訳ございません。)
ご購入の際は、サイズがしっくりくるかわからないけど、”賭け”のつもりで思い切ることができるか。そんな商品だとご理解ください。(...本当に申し訳ございません。)
いちおう、多少大きめを狙っていただいたほうが、安全側だとは思います。
しかし、たとえ十本すべての指のサイズに合わなくても、あきらめることはありません。ネックレスやイアリングとしてお使いいただいても素敵な作品だと思います。(と、逃げの一手を打っておきます。紐や金具などは、各自お好みのものを入手してください。)


ショップ販売するものには、タグに「S-style」(後述)でのおおよその指輪サイズを記載し、実際にリングゲージ棒にはめて撮影した写真も掲載してはいますが、あまり参考にならないかもしれません。
リングゲージ棒が不精確なのではなく、2本のリングの組み合わせを少し変えるだけでもサイズが変わるためです。また各人の指の形状がそれぞれ違うため、何号の指には、何号の指輪だったらしっくりくるのか、私にも分かりません。あしからず、ご了承ください。
・メビウスの指輪の強度に関して
これがまた、大変申し訳ないのですが、私自身にも分からないので、なにも保証することができません。
たぶん、太いものよりは細いものの方が、硬い材よりは柔らかい材のものの方が、強度が低いだろう、というぐらいにしか分からないのです。
まず、正確に強度を把握するためには、破壊試験をしなくてはなりませんが、それが難しい。
(非破壊で検査することは、さらに、とんでもなく難しいだろうと思われます。)
たまたま制作途中で割れてしまったものもありますが、力を測りながら壊したわけでもないので、強度を推定する参考にもなりません。壊れてしまう時は、「キックバック」をくらって突然大きな力をかけてしまった、という場合がほとんどでした。(最近はありませんが。)
また、壊してしまったものは販売できませんので、積極的に破壊試験をしたくもありません。
(割れたものを、接着補修して販売する、といったことはしておりません。)
さらに、天然の木材を使用しているため、その強度には個体差が大きいと思われます。個体差が大きい材料の場合、たとえ破壊試験で(少数の)強度データを得られたとしても、他の個体の強度を推定するのには(ほとんど)役に立ちません。材の欠陥に関しても、いくら目で見つからなくても、見えないような割れがない、とも言い切れませんし。
強度を保証しないことに対する単なる言い訳と思われるかもしれませんが、実際その通りです。
以上、あらかじめご了承いただけますよう、宜しくお願い致します。
ただ、「販売しているものは、制作中には壊れなかったもの」ということだけは、事実としていえるかと。
・ピンキーリングとしてお勧め
組木屋として「メビウスの指輪」は、(指輪として使われる場合)ピンキーリングとして小指にはめていただくことを(ごく弱く、ほのかに)お勧めします。
その理由としては、主に2つ。
①いろいろな角度から見てほしい
普通の指輪は、基本的には1方向(宝石とかがついている側)から見られることを想定してデザインされていますが、「メビウスの指輪」は360°、どの方向からみても面白い、と思っています。ので、できるだけ広い角度から見られる小指にはめてもらうのが良いのではないか、という、わりと積極的な理由。
②太さが、かさばってジャマ
2本のリングが繋がっているため、指にはめると必然的に2か所で重なります。重なる部分で特に太くなるため、正直に申し上げますと、はめ心地は”悪い”と思います。(個人の感想です。使用感には個人差があります。)
間に挟まれた指にはめるよりは、端っこの小指の方が多少はマシかな、という、ちょっと消極的な理由。
もちろん、どの指にはめていただいても構わないのですが、指輪を着けたまま何か作業をしたり重たいものを持ったりするのは、避けていただくことをお勧めします。
「私、今日は箸より重たいものは持たないの。」といえる日だけ使うとか。
たとえ、ジャンケン小僧と出会っても、気合を入れて全力で「グー」を出さないようにご注意ください。


・基本の5スタイル
2本のリングの組み合わせ方は無数にあるのですが、そのうち基本的なもの5つに以下の名前をつけました。
ショップにも主にこれらの型で撮影した写真を掲載しています。(反対側も見えるように、その多くは鏡の前で撮影しています。)
①標準型「S-style」
②交差型(白)「X(W)-style」
③交差型(黒)「X(B)-style」
④蝶々型「B-style」
⑤無限型「Q-style」

「S-style」

「X(W)-style」

「X(B)-style」

「B-style」

「Q-style」

「S-style」

「X(W)-style」

