組木屋作品紹介 組み積み木
猫の組み積み木(16匹の猫)
デザイナー:上田 クラフター:上田
【今までに制作した樹種】シナ(榀)、ヒノキ(檜)、クリ(栗)、ウォルナット、サクラ(桜)、神代ケヤキ、ホオ(朴)、ジリコテ、トチ(栃)、マホガニー、世界の銘木セット(マホガニー・チーク・ウォルナット・メープル)、ヤクスギ(屋久杉)、など
【目次】
・猫の組み積み木とは
同じ形の猫(16匹を基本)を組み合わせた2Dの組み木で、
組み木としても積み木としても遊べる作品です。
厚さ20mm前後の一枚板から作成したものが多いです。
・基本的な遊び方
子供には、特に先入観をあたえずに、自由に遊んでもらうのが一番良いのではないか、と思います。
枠から出してまた戻すだけでもパズルみたいに楽しめますが、きっとその他にもいろいろな遊び方をしてくれるだろうと思います。
大人の方にも、まずは先入観なしで遊んでみてほしいです。
・大人が本気で遊ぶとこうなる
たぶんしばらくしたら子供は飽きてしまいますが、「猫の組み積み木」のポテンシャルはそんなものではないはず。「大人が本気で遊んだらこんなにすごいんだぜ!」というところを見せつけてやりましょう。
※写真は大人(上田)が本気で遊んだ例です。
すべての個体で同じ積み方ができる、と保証するものではありませんのでご注意ください。
(写真の例は、シナという加工しやすい材のもので、比較的精度よく加工されているものです。)
下に敷いている黒いものはゴムマット。摩擦が重要だったりします。かなり微妙なバランスでぎりぎり成り立っているものや、偶然、奇跡的に成功しただけのもの、なんかの写真も載せています。さらにいうと、下から順番に積むことが不可能な積み方もありますが、それにはちょっとしたテクニックを使って積んでいます。(ご飯粒とかでくっつけたりはしておりません。上田には腕がたくさんある、とかいうこともありません。)
こんな積み方を「猫の観覧車」
と呼んでいます。土台となる猫たち
の積み方は臨機応変に。
・「猫の観覧車」を積む方法
組木屋で「猫の観覧車」と呼んでいる積み方があるのですが、この積み方が気に入っていてショップの写真などにも多用しています。
一見、不可能っぽくも見えるような絶妙な積み方で、「これ、接着剤とか使っているだろう」とか「一人で積むのは無理だよね」とか仰っていただける方がおりましたので、実際どのようにして積んでいるのか説明のための動画を作成しました。
「これどうやって積んだの?」というのは、なかなか珍しいタイプのパズル問題だと思っております。
最後まで再生する前に、是非ともちょっと考えてみて下さい。
・平面充填可能なデザイン
(加工の誤差を無視すれば)まったく同じ形の猫を、無限に組み合わせて並べていけるようなデザインになっています。数学用語でいうと、「p4」という対称性の型(文様群ともいわれる)をもった充填パターンになります。(16匹を基本のセットとしてますが、何匹ならべてもOK。4匹セットが「猫の箸置き」です。)
足と尻尾と耳をそれぞれ角ばらせれば、完全に隙間なく並べられる(平面充填可能な)形になるのですが、見た目、遊ぶ時の手触り、加工性などのため、ちょっと丸くしています。
猫の向きに関して、枠に収めたときに左を向いた方を基本としていますが、時々裏返しにして右向きで枠を作成したものもあります。(クラフターの気分で。制作途中で「やっぱ反対の方が木目がカッコいいかな」と思ったり、「ぼ~」っとしてたら「あっ!逆になってしまった!」となったり、とか。)
猫の表裏は全部同じ向きで枠に収まる、ということに気が付いていると、片づけるときにかなり楽になります。
ver.2.0 と ver.3.1
ほとんどおなじやろって?
・猫の組み積み木の歴史(バージョン)
現在の猫の組み積み木は、バージョン3.1です。
もともとは「猫の箸置き」として4匹を組み合わせられるものを考えたのですが、それがバージョン1.0です。その後、積み木として遊べるようにと考え、無限に組み合わせていけるように改良したのが、バージョン2.0で、16匹を基本の組み積み木としました。
バージョン2.0までは、自由曲線で描いていたのですが、それを直線と円弧で構成しなおして、バージョン3.0としました。(さらに猫の観覧車を狙った微調整をして3.1に。)
ここで「猫の箸置き(4匹)」にも、この直線と円弧のものをフィードバックしたので、箸置きも現在は、同じくバージョン3.1の形です。
実は、さらに積み木として面白くなりそうな、改良のアイデアがあるのですが、デザインが固まってくればくるほど、変更調整が難しく(おっくうに)なります。いつやるかわかりませんが、もし上手くいったら、4.0にバージョンアップするかもしれません。
耳が欠けた試作品1号の猫たち
焦げも酷い…
・加工精度と割れやすさについて
組木屋の「猫の組み積み木」は、糸鋸盤を使用した手作りで、天然の木材を加工しております。
個体毎に加工誤差があること、あらかじめご了承ください。
具体的に言うと、硬くて加工難度が高い材ほど切断面の垂直精度が悪い傾向にあります。
また切断面の摩擦が少ないとアクロバティックな積み方が難しくなるので、あまりヤスリをかけないようにしているのですが、これも硬い材ほど摩擦が少なくなる傾向にあります。
しかし比較的軟らかい材だと(強化加工などは施しておりませんので)落とすと割れやすいということがあります。一般的に言って、広葉樹より針葉樹の方が割れやすい傾向にあります。(試作品1号はヒノキ(針葉樹)で作成し、息子たちに試験して(遊び倒して)もらったのですが、かなりの猫たちの耳が欠けてしまいました。)
・硬い材→加工精度が悪くなりやすい(クラフターの腕の問題でもありますが...)
・ヤスリを多くかけると→形が悪くなる上に、摩擦が少なくなり積みにくい
・軟らかい材→割れやすい
といったジレンマがあります。
さらにクラフターの腕が悪いため、切断面が焦げることがよくあります。
(特に初期の作品で多い。日々精進しておりますが…)
作品を購入される場合、以上をご理解いただいた上で、ご検討のほど宜しくお願い致します。
・作品の仕上げ
糸鋸で切断した面は、出来れば切りっぱなし仕上げとしたいところですが、焦げたりしてどうしても汚くなってしまったところは、一部削って修正している場合もあります。(削れば削るほど形が変わってしまうので、できれば極力削りたくない。そのため切断面に焦げがそのまま残っている作品も多々あります。)
角は面取り(糸面程度)をして、全体的に軽くヤスリかけをしています。
最終仕上げとして、オイル塗装で仕上げをしています。
(組木屋では今のところ、オスモカラーエキストラクリアー(つや消し)というオイルを使用しています。)
最後に組木屋のロゴマークを焼入れします。何種類かのロゴを使っているのですが、どれを使うかはクラフターのその時の気分で、木の雰囲気や木目などと相談しながら決めています。
・糸鋸加工図面について
「猫の組み積み木」は、糸鋸加工用の図面データをダウンロード販売いたしております。
糸鋸盤をお持ちで、組み木を楽しまれている方は、ぜひ自作してみてはいかがでしょうか。