組木屋作品紹介 組木屋の立体ジグソーパズル
このページは、制作メモ的なページです。
パズルの答えや仕組みが分かる画像もあります。あらかじめご了承ください。
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組木屋nピース ジグソーパズル
デザイナー:Nobu クラフター:上田
【今までに制作した材種】「ウォルナット・サクラ(カバ類)」(ほとんどはMDFで積層型の試作)
3Dプリントサービスでナイロン素材でも出力してみました
・組木屋nピースジグソーパズル とは
【目次】
以前(2017年6月)に「組木屋ジグソー組み積み木」という作品を作ったのと、最近(2019年4月)「多角形組木シリーズ」でコーディネートモーションについていろいろ考えた流れから生まれた作品群。
「4ピースジグソー」と呼ばれる作品にならって、テーパーを付けた改変もした。
(↑これと区別するために名前に”組木屋”とつけて呼ぶこととした。)
初めは「4ピース」だけで考えていたが、ピース数を「nピース」に拡張した。
できればすべて、凸凹を円形にしたジグソーパズルのような形状で、無垢材から作りたいが、加工が大変なので、ほとんどは積層型で作成して動きを確認。
滑らかに制作出来たら、動きがとても気持ち良い。
その後3Dプリントサービスでもいろいろ出力しました。
<現状、以下のモノたちを制作して(作図もしくは考えて)います。>
●2ピース
・基本形 ←地獄になって外れない
・基本形「改」
●3ピース ←必然的にコーディネートモーションとなる
・基本形
・テーパー付き「<(中細)」
・テーパー付き「>(外細)」
●4ピース
・基本形
・テーパー付き「<(中細)」
・テーパー付き「>(外細)」
・テーパー付き「<>・><(中外・外中)」
・テーパー付き「<<・<>・>>・><(中中・中外・外外・外中)」 ←地獄になって外れない
・「c.m.(コーディネートモーション)」 ←これを一番最初に考案して作成 なかなかの快作
●5ピース ←かなり不思議な動き
・基本形
・テーパー付き「<(中細)」
・テーパー付き「>(外細)」
・テーパー付き「<>・><(中外・外中)」 ←奇数ピースでは(普通には)成立しない
・「c.m.(コーディネートモーション)」
●6ピース ←なかなか不思議な動き
・基本形
・テーパー付き「<(中細)」
・テーパー付き「>(外細)」
・テーパー付き「<>・><(中外・外中)」
・「c.m.(コーディネートモーション)」 ←c.m.の距離が少し長い
●7ピース(いろいろ考え中だが、制作は至難)
・基本形
・テーパー付き
・「c.m.(コーディネートモーション)」 ←3Dプリントサービスで出力
●8ピース(いろいろ考え中だが、制作は至難)
・基本形
・テーパー付き
・「c.m.(コーディネートモーション)」 ←3Dプリントサービスで出力
●8ピース(立方体)(図面と頭では考えたが、制作は至難)
↑けっこうたくさんのバージョンを考えたので、別シリーズ「ジグソーキューブ」とする。
上手くいけば、かなりの傑作になるかも
以下、(上記の順番ではなく)組木屋で考案した順番で紹介していきます。
・組木屋4ピースジグソー「c.m.」
「多角形組木シリーズ」の四角形をいろいろ考えているときに感じた「2個セットで動きやすく、4個バラバラには動きにくい」という特性を、逆にパズル的に活かせないかと考えて創作しました。
全体構造:無垢材から作成したもの(写真右)と、積層構造としたもの(写真左)がある。
積層の場合、4層でも制作可能だが、ここでは6層で作ってみた。
全体形状:外周の形状は自由。円形でも可。
四角形とする場合でも、レールと辺とは平行・直交していなくても可。
(ここでは、レールの軸が辺の中心を通り、直交するような正方形で作成した)
ピース構成:4ピース。すべて同形。(2色にするのがカッコよい)
ピース形状:単位柱(ここでは正四角柱)に、凸レール、凹レールをそれぞれ取り付け、
凸レール中央側に引っ掛かりとなるパーツを取りつけた形状。
厚さ方向に鏡映対称。(4層で作った場合は非対称となる)
動き:普通に操作すると摩擦により2個ずつセットで動きやすい。
2手の動き(2個セットが縦に動いて、次に別の2個セットで横に動く)が、
いっきに「カシャン」と、あたかも1手のように動く。これが非常に気持ち良い。
解法:2個セットで動かしている限り、外れない。
外すには、途中ほんのわずかな距離だけだが、コーディネートモーションが必要となる。
その他:パズルとして難しくはないが、なかなかの快作だと自己評価(自己満足)している。
4ピースジグソーc.m.
動きがとても気持ち良い。
「ハンドスピナー」や「健康球」みたいに、暇つぶし・手先の運動みたいな用途にも良い感じかと。
ただし、気持ち良く動くようにするためには、制作精度がかなりシビア。
要求される精度がシビアなので、糸鋸盤で切断をすると、ヤスリ調整に非常に手間がかかります。
(緩ければ動きやすいとも限らないし、ガタが少なければスムーズに動くとも限らない。難しい。)
中央部の形状が微妙で、特に制作困難。
(ノン糸ノコッチャブルになるので、一体成形は無理で、別に作って接着)
積層の場合でも、中央は接着作業にピンセットが必要なぐらいに小さなパーツになる。
MDFでは、この小パーツの厚さ方向の強度が足りないので、低粘度の瞬間接着剤を浸み込ませて強化した。
・組木屋4ピースジグソーのサイズ
20㎜の正方形に10㎜幅のレールをつけて、全体で50角となるように作図。
(サイズの比率はいろいろ変えようがある。)
積層型で、50角と、1.2倍した60角とを作ってみた。
大きい方が作りやすい。50角だと制作は結構大変。
でも、片手でもてあそんで動きを楽しむには、50角ぐらいがよさそう。
両手で扱う分には、もっと大きくても問題はなさそう。
・組木屋4ピースジグソー「<(中細)」「>(外細)」
「4ピースジグソー」のように凹凸のレール部分にテーパーをつけてみました。
テーパーの方向で、とりあえず内側を細くする「<」と外側を細くする「>」の2種類。
左の赤いものが「<(中細)」、右の青いものが「>(外細)」、無垢材のものも「>(外細)」。
「c.m.」との違いは解法。2個セットの動かし方をして2手で外せる。
ただしテーパーの細い方向への移動は、行き止まりとなり外せない。
「<(中細)」は外側へずらすように、「>(外細)」は内側へずらすようにすると外せる。
(「>(外細)」の外れ方の方が、少しだけ意外性があるかも。)
外れる方向は限られるが、それでもパズルとしては簡単すぎるかと。
無垢材から作ったものは、ガタが大きくなりすぎて意図した方法以外でも外れてしまった。
中心にレールが見えてくる動きもするので、「c.m.」とは若干違うが、
2手いっきに「カシャン」となる動きは共通してできる。
・組木屋4ピースジグソー「基本形」
試作しているうちに、テーパーも何もなくても、同様の動きができそうだと考え、シンプルな基本形も作ってみました。
2個セット2手で、内側ずらし・外側ずらしのどちらでも外せる。
これもパズルとしては簡単すぎるけど、気持ち良い動きはできる。
「c.m.」やテーパー付きよりは、制作が幾分か容易。
・組木屋6ピースジグソー「c.m.」
4ピース四角形以外にも拡張できそうと考え、まずは6ピース六角形で制作。
コーディネートモーションが成立するか、頭と図面上で考えるだけでは自信がなかったので試作して確認した。
全体構造:無垢材からの作成は非常に困難なので、とりあえず積層型(4層)で制作。
全体形状:試作は、六角形で、レールの軸が頂点を通る形状としたが、外周の形状は自由。円形でも可。
ピース構成:6ピース。すべて同形。(2色でもよいが、動きからすると3色がよいかな、と思う。)
ピース形状:単位柱(ここでは正三角柱)に、凸レール、凹レールをそれぞれ取り付け、
凸レール中央側に引っ掛かりとなるパーツを取りつけた形状。
動き:普通に操作すると摩擦により3個ずつセットで動きやすい。
2個セットの動きとはなりにくい。いわんや、6個バラバラの動き、をや。
4ピースと同様、2手の動き(3個セットで動いて、次に別の3個セットで違う方向に動く)が、
いっきに「カシャン」と、あたかも1手のように動く。これが非常に気持ち良い。
解法:2個セット・3個セットで動かしている限り、外れない。
外すには、コーディネートモーションが必要となる。
コーディネートモーションでの移動距離が、4ピースの場合より少し長くなるので、
偶然外れる可能性は低くなると思う。
その他:どこがどうひっかっかって外れないのか、逆に外れるのか、
そう簡単には理解できないのではないかと思われる。
自分でも、いまだに把握しきれていない気がする。
だからずっと飽きずにカチャカチャと動かしてしまう。
6ピースジグソーc.m.
これも動きが面白い。
・組木屋6ピースジグソー「基本形」「<(中細)」「>(外細)」
4ピースと同様に6ピースでも「基本形」「<」「>」などが考えられる。
けど、パズル的には簡単なので、試作はしなくてもよいかなと。
・組木屋5ピースジグソー「基本形」
奇数ピースにも拡張するとどうなるか考えて作図・試作した。「c.m.」は制作が大変なので、まずは「基本形」で試作確認した。
全体構造:無垢材からの作成は非常に困難なので、とりあえず積層型(4層)で制作。
全体形状:試作は、五角形で、レールの軸が頂点を通る形状としたが、外周の形状は自由。円形でも可。
ピース構成:5ピース。すべて同形。(5色としてみた。)
ピース形状:単位柱(ここでは二等辺三角柱)に、凸レール、凹レールをそれぞれ取り付け、
凸レール中央側に引っ掛かりとなるパーツを取りつけた形状。
動き:なんとも説明しずらい、不思議な動きをする。
「2個・3個」セットでの動きは構造的にできない。
「2個・2個・1個」もしくは「3個・1個・1個」というセットでの動きとなる。
5個バラバラの動きにはなりにくい。
解法:基本形で、引っ掛かりや行き止まりはないので、方向を定めてずらしていけば外せる。
大きく分けて、外側ずらしと、内側ずらしの2通りの外し方がある。
その他:実物を触れば、外すのも戻すのも難しくはないのだが、それでもやっぱり不思議な感じがする。
5ピースジグソー基本形
これも動きが面白い。そして不思議。
・組木屋5ピースジグソー「<」「>」「c.m.」
5ピースでもいろいろバリエーションが考えられる。
「<」「>」はだいたい想像がつくけど、「c.m.」は作って確認をしたい。
・組木屋3ピースジグソー「基本形」「<」「>」
3ピースは必然的にコーディネートモーションになると思われるので、「c.m.」は無し。
・組木屋2ピースジグソー「基本形 改」
2ピース(凸凹レールの設置角度180°で同一線上)でも成立するか、と考えたが地獄になって外れない。(組めない。)一応同じような見た目で組んだり外したりできる方法を考えて作図した。
・組木屋nピースジグソーの外周形状
2ピースを考案したとき、外周の形状を円とした。そこで他のものも円形で良いと気づき、75Φでいくつか作図した。さらにいうと、外周の形状はなんでも良いな、と。たとえば4ピースは、四葉のクローバーっぽくしてもおしゃれかもしれない。
・凸凹レールのテーパー方向
レールにテーパーをつける場合、その方向はすべて中側が細い「<」と、すべて外側が細い「>」とを考えていたが、「>」と「<」が交互になるようにしても成立するな、と考えた。その場合、ピース形状は2種類になる。(したがってピース数が奇数となる場合は普通に考えると成立しない。)
無垢材のテーパー付きを作っている途中に思いついて、交互のもの「<>・><」を作ってみた。
制作が大変な割に、パズル的な難易度や面白さは、たいして変わらないかな、と思う。
・7ピース以上(奇数)
7か9(奇数)ピースで「<」「>」交互のテーパーが成立する方法をぼんやりと考えている(メビウスの帯のように180°ひねって繋がるイメージ)が、制作は至難となりそう。
いつか3D-CADをマスターして、3Dプリンターを気軽に使えるようになったら試作してみたい。
・8ピース以上(偶数)
ピース数が奇数か偶数かで、テーパーを付けたりする場合の考え方が、ちょっとだけ違ってくる。
制作も困難なので、あまりややこしいものを考えても作らないと思うけど。
・8ピース(立方体)
8ピース(2×2×2の立方体)で、ジグソーパズルを考えた。
一見、不可能物体みたいな外見で、パズルとして成立する内部構造を考えて作図。試作したいけど、制作はかなり困難。(図面上と頭の中では、たぶんいけていると思っているけど、試作してみたらミスがみつかるかも。)
さらに解法にコーディネートモーションを絡めた内部構造を考案。←これが上手くいったら、傑作といえそうなんだけど、、、
8ピース立方体は、かなりたくさんのバリエーションを考えたので、別シリーズ「ジグソーキューブ」とする。
別ページにメモをまとめ→ https://www.kumikiya.com/kjc-memo
・3D-CADの習得
2019年の秋ごろから、3D-CADソフトをパソコンに入れてぼちぼちと勉強しています。
いろいろ調べてみたけど、とりあえず無料で使える「Free CAD」というソフトを使っています。
・3Dプリントサービス
個人で3Dプリンターを所有していなくても、データを送ったらプリントしてくれるサービスがあります。
国内でもっとも大きいのが「DMM.make」海外では「Shape ways」というサービスが有名。
両方のサービスでいくつかを出力してみました。
・出力精度とギャップ設計
組み合わせるパズルでは隙間(ギャップ)の精度が大切だが、どの程度の誤差を見込んで設計するか悩ましい。
3Dプリントで出力した時の精度がどの程度のものなのか、実際にやってみないとよくわからない。
まず、ピースどうしの隙間をすべて0.2mmとして作図をして、「赤(c.m.)」と「緑(テーパー)」を「DMM.make」ナイロン素材で出力した。(2020年1月)
→そのままでは入らずにヤスリ掛けが必要。とくにテーパーは相当削る必要があった。→テーパーでの設計はあきらめて段差(スッテプ)とするべきかも。
隙間を0.2mmのまま「黒(5P)」「青(6P)」を「Shape ways」Versatile Plasticで出力。
→ヤスリ掛け無しで入った。「DMM.make」より「Shape ways」の方が精度は良いかも。
→その後(2020年4月)ジグソーキューブ赤黒を隙間を0.2mmのまま「Shape ways」で出力したら入らず。ヤスリ掛け必要だった。
隙間を基本0.2mmのまま凹レール端部のみ拡げて「黄(3P)」を「DMM.make」で出力。
→やっぱりヤスリ掛け必要。
隙間を全部0.4mmとして「橙(4P基本形)」を「DMM.make」で出力。
→ヤスリ掛け無しで入ったが、けっこう緩い。
隙間を平面は0.2mm、曲面は0.4mmとして「紫(7P)」「桃(8P)」を「DMM.make」で出力。
→ヤスリ掛け無しで入った。若干緩いが、これを基本とするのが妥当か。
「nピースジグソー」のシリーズも「ジグソーキューブ」のシリーズも、一旦すべて隙間0.2mmで作図してしまったので、データの修整がめっちゃ面倒だが、出力してからヤスリで調整というのも無理があるので、しょうがない。
今後すべて「平面は0.2mm、曲面は0.4mm」という隙間(ギャップ)を基本として設計する。
(たぶんアクリルとかだとナイロンよりは精度がよいのだろうけどかなり高価なので、ナイロンの精度に合わせて設計せざるをえないだろう。)
・3Dプリントサービスでの販売
販売にあたり、パズルの種類を記号で書くのもなんなので色で表すことにした。(ナイロンで選べる色がだいたい9色だったのでそれに合わせて)
・3ピース(基本形)→黄
・4ピース(基本形)→橙×→白
・4ピース(c.m.辺)→赤
・4ピース(c.m.角)→橙
・4ピース(テーパー)→緑 ←テーパーは精度が難しいのでステップとするか
・5ピース(c.m.)→黒
・6ピース(c.m.)→青
・7ピース(c.m.)→紫
・8ピース(c.m.)→桃
「4ピースジグソー(c.m.)」を「DMM.make」で販売できるようにした。(2020年6月)