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  • 組木屋 上田

「心材(しんざい)」と「白太(しらた)」


組木屋では、木材の「中心側で色の濃い部分」と「周辺の色の薄い部分」とを表す言葉として、「心材(しんざい)」と「白太(しらた)」という言葉を採用しています。(銘木図鑑などでもそう表記しています。)木材についての知識を持った方は、この呼び方に違和感を感じるかもしれません。

木材の「中心側で色の濃い部分」のことは、「心材」もしくは「赤身(あかみ)」と呼びます。

それに対して「周辺の色の薄い部分」のことを、「辺材(へんざい)」もしくは「白太」と呼びます。

「心材(しんざい)」と「白太(しらた)」

本来は、「心材」に対して「辺材」、「赤身」に対して「白太」、というセットが正しい呼び方であって、組木屋みたいに「心材」に対して「白太」という言葉を使うのは不自然かもしれません。

木材は中心側と周辺側とでは、材質が違ってきます。一般的には中心側は硬くて緻密、周辺側は樹脂が多く腐食に弱い、という特徴があります。(樹種によっては、そうでもなかったりしますが。)実際に木材を加工をする職人にとっては、材質の違いが重要なので、「心材」「辺材」と呼ぶ人が多いのではないかと思います。

それに対して、加工をしないほとんどの人(デザイナーや一般消費者)にとっては、色(見た目)の違いの方が重要な関心事になるので、「赤身」「白太」という呼び方の方が、直感的にも分かりやすいだろうと思います。

それでは、なぜ組木屋では「心材」と「白太」と呼ぶのか。

まず「白太」部分は、メビウスの指輪などで、デザイン(見た目)上のアクセントとして、あるいはコントラスト(対照)を際立たせるために使用しており、ここで重要なのは色の違いです。木材の中心なのか周辺なのか、ということはあまり問題にしておりません。(クラフター上田にとっては重要な問題ですが、ここでは無視されます。)だから、「辺材」ではなく「白太」と呼ぶ方がしっくりときます。

次に「心材」部分。周辺側を「白太」と呼ぶなら中心側は「赤身」と呼ぶべきなのでしょうが、組木屋で使用する材には、全然「赤」っぽくないものが数多くあります。日本の木材には奇抜な色のものは少なく、中心側は周辺側より「赤(茶)色」っぽいものがほとんどです。だからこそ「赤身」という呼び方になったのでしょうが。しかし、例えば、パロサントという緑色の材の中心側の部分を「赤身」と呼ぶことには、あまりにも違和感が大きくて。「赤身」って違うなぁ、「心材」の方がまだマシだなぁ、と。

そんな理由で、勝手ですが「心材」と「白太」とで呼んでおります。

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