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  • 組木屋 上田

ボコーテ


銘木図鑑の第6回。ボコーテという材を紹介します。

「多くの別名をもつ、トラ(鬼のパンツ)模様の銘木」

【別名】黄金壇(おうごんたん)・黄王壇(きおうたん)・パオアマレロ・リオグランデパリサンダー(※マメ科のモラドという材もリオグランデパリサンダーという別名で呼ばれることがあるが別種)

【科目】ムラサキ科 カキバチシャノキ属 広葉樹

【組木屋作品】メビウスの指輪、猫キーホルダー

【評価】加工しやすいような、しにくいような、微妙に評価が難しい材ですが、組木屋評価では6.8点としました。

いろいろな別名を持つ銘木。

「黄金檀(おうごんたん)」とも呼ばれるが、「檀」というのは、唐木(からき)の良材によく使われる呼び名で、他に黒檀・紫檀・白檀・緑檀・栴檀などがあります。

「リオグランデパリサンダー」という呼び名が「めっちゃカッコいい」と思ったのですが、マメ科の「モラド」(まったく別の材です)も「リオグランデパリサンダー」と呼ばれており、ややこしいため組木屋ではその呼び名は不採用としました。

また、「パオアマレロ」とも呼ばれることがあるらしいのですが、「パウアマレロ」(これまたまったく別のミカン科の材「イエローハート」の別名)と混同されそうで、ややこしい。

そんなこんなで、組木屋では「ボコーテ」という呼び名を採用しているのですが、これまた「ボコテ」とも「ボーコテ」とも表記されることがあり、ややこしい。

【色・匂・味】黄色っぽい茶色と、黒に近い焦げ茶との細かい縞模様。黄金壇と呼ばれるように、金色に近い色といってもよいかな?そうでもないかな?どっかで見たことがあるような、トラの縞々みたいだけどちょっと違う。これは「鬼のパンツの模様だ!」と納得(私のイメージとは合致)した。加工直後は、黄色部分の色が薄いが、次第に濃い目の黄茶褐色になる。白太部分は少し濃い肌色。心材と白太との区別は明瞭。木目が細かくはっきりしているので、指輪など小物を作ると面白い。

普段匂いは特にしないが(微かに松ヤニに似た匂いがするかな?)、熱を加えると少し香ばしい匂い。

味は特にしない。

「虎ネコっぽくなるかな」と思い、薄板で猫のキーホルダーを作ってみたのですが、柾目の板だったので縞模様が細かすぎた。いまさらながらですが、板目の材で作ればよかった。

【加工性】適度な硬さで大まかな加工はし易い。ただし白太部分も作品に使おうとすると、硬さの差が大きいため、細かな精度を出すのは難しい。木屑はややモコモコした感じ。木屑がノコ目に詰まりやすいが、簡単に取れる。ただし目詰まりのまま切り続けると、熱で樹脂が出て固まりになるので、ちょっと取りにくくなる。できるだけ熱を加えないように加工したい。心材よりも白太の方が(2倍くらい)柔らかい。繊維方向による差も2倍くらい。白太部分の逆目加工では4倍かあるいはそれ以上に削れてしまうので要注意。割と繊維を強く感じ、キックバックが起こりやすい。逆目も多少有り。ドリルの穴はとても素直にあけやすい。

繊維に沿って剥がれるように、小さく欠けやすいので、面取りをするときに十分注意が必要。(完全に逆目の場合よりも、繊維と直角に近い角度で加工するときに欠けやすい、というのが厄介。)綺麗にするために面取り・研磨をしようとして、逆に傷を増やして汚くしてしまう、ということが起こりかねない。目の粗いビットで面取りをしてはいけない。

写真では見にくいかもですが、欠けた部分を赤丸で囲っています。「こんな小っちゃい欠け、ちょっとヤスリをかけたらたらええだけやん。」と思われるかもしれませんが、「メビウスの指輪」なんかを作るときにはこの大きさの欠けでも致命傷になりかねません。

【仕上】

メビウスの指輪は#1500まで磨いたが、道管が結構大きいため、そこに木屑が詰まるし、多少のざらつきは残る。バフで木屑を飛ばせば、見た目はけっこう綺麗にはなるが、他の硬い材のものほど”つるっつる”という感じまではいかない。

オイル系の塗料やワックスを塗れば、道管の穴や木屑の白っぽいのは目立たなくなるが、メビウスの指輪ではあえて”素地のまま”とします。

左は普通のデジカメで出来るだけ近寄って撮った写真。中央と右のは、デジタルマイクロスコープでさらに寄って撮った写真。右の写真の右側にはクラックスケールの、0.20mm幅の線を当てています。

【その他】樹種の呼び名はややこしいものが多いのですが、この「ボコーテ」もなかなか。

でも、同じ「ムラサキ科 カキバチシャノキ属」に「ジリコテ」という木があって、これの別名「シャム柿」がさらに酷い。ですがそのお話は、またいつか。

【2018年12月 指輪の拡大写真を追加】

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