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  • 組木屋 上田

その他の作品たち


今回は、「その他の作品たち」として、販売用とかではなく私的に作ったものとか、組木屋オリジナルデザインではないんだけど作りたくなったので作ってみたもの、などを紹介いたします。

組木屋の名刺(ハイパーカード)

デザイナー:上田  クラフター:上田

個人事業を始めるにあたり、こんな名刺を作ってみました。猫ちゃんのペアが3組いる図柄です。

左の写真奥にあるような一枚の紙に、切り込みを入れて折り曲げるだけで、猫が立ち上がった感じに出来ます。でもどちらに倒しても切り込みと合わない??

不思議な感じがしませんでしょうか。

(じっくり見ていただいたら仕組みは分かってしまうかと思いますが。)

こんな紙の一見不可能物体っぽいものを、ハイパーカードと呼ぶことがあるらしいです。

でも、私が他で見たことのあるハイパーカードとは、実はちょっと仕組みが違って、紙の外周輪郭が保持されています。

(シンプルな)ネックレスとイヤリング

デザイナー:(いちおう)上田  クラフター:上田

スタビライズドウッド(メイプルバール緑青2色)の非常に綺麗な品(これはアメリカで作成されたものらしい)を入手しましたので、その杢目と色をいかせるようにと思って、シンプルなネックレスとイヤリングを(奥様へのプレゼントとして)作りました。無塗装、磨きのみの仕上げです。

しごくシンプルなので、デザインというほどでもありませんが、いちおう組木屋上田オリジナルです。(金具などは、100円ショップで入手したような、安価なものです。)

ぱっと見、​簡単そうに思われるかもですが、意外と制作に一個当たり1日以上かかってしまって、さすがにこの値段で買う人はいないだろうという感じになってしまうので、販売する予定はありません。

量産すれば、いくらか効率は上げられるかもしれませんが、木を組んでいるわけでもないし、特に不思議でもなく、組木屋っぽい作品ともいえませんし。

万が一、「めっちゃ気に入った!お金に糸目は付けないから、販売してくれ!」というリクエストがあれば、考えさせていただきます。

マイ家族箸

デザイナー:(いちおう)上田  クラフター:上田

銘木で、家族用にお箸を作りました。家の次男にお箸の練習をさせようと思って、5歳の誕生日プレゼントとして。自分用に良いお箸が欲しかった、というのもありますが。

これもデザインというほどでもないのですが、それぞれちょっと違う形にしました。八角形とか、丸から四角とか、頭の部分の形を変えたりとか。

樹種は左から、スネークウッド×2、ピンクアイボリー、青黒檀。

​スネークウッドと青黒檀は、お箸に適した材ですが、ピンクアイボリーは(無塗装では)水に濡れる用途にはあまり適していないことがわかりました。

ピンクアイボリーは、せっかく丁寧に磨いても、水に濡らすと毛羽立って、手触りザラザラ、見た目も白っぽく粗い感じに戻ってしまいます。濡らして、乾かして、また丁寧に磨いて、というのを3回ほど繰り返したら、手触りはあまりザラつかなくなったのですが、色合いはやっぱりダメでした。またピンクアイボリーのものは、共木から4本(2膳)作ったのですが、なぜかその内の1本だけ、うにゅぅって反ってしまいました。表面をコーティングするような、造膜系の塗装をすれば問題はないのかもしれませんが。

青黒檀とスネークウッドのお箸は、無塗装で、ゴシゴシ洗っていますが、今でも良い感じです。

・ラトルバック

デザイナー:不明  クラフター:上田

銘木で、ラトルバックという不思議物体を作りました。

デザイナーは不明。なんでも古代遺跡から石製の物が見つかっているとか。

家の次男に、誕生日プレゼントとしてお箸を作っていたら、途中で見つかってしまい、「えぇ、お箸ぃ?遊ぶものも作りなさい!」というご指示をいただいて、作ってみました。

私が作ったものは木製で、樹種は左から、肥松、リグナムバイタ、カリン、パオロッサ。

下側の面が微妙な曲面となっておりまして、平らな床の上で回すと、一方向にはスムーズに回るのに、反対に回すと・・・不思議なことが!?

動画サイトで「ラトルバック」で検索すると、動いているところが見られると思います。

私自身が、十分に原理を理解していないため、理想形もよくわからず、試行錯誤で制作。なんとか90°~180°くらいは逆回転するようにはなりましたが、本当はもっと戻ってほしい。

それでも子供たちは喜んでくれましたが、もちょっと原理を理解して改善をしたいところ。

いつか詳しい記事を書きたいと思っていますが、いつになることやら。

・六本組木(斜め組み・総対称ピース)

デザイナー:テンヨー(天洋)の社員さん?  クラフター:上田

六本の木を立体的に組み合わせたパズルは、日本では非常に古く(江戸時代?それよりもっと昔?)から「智恵の木」などと呼ばれて親しまれていたらしい。現在では、世界中の数学者やパズル好きの方々によって研究されていて、その外形(完成形)も、仕組み(内部構造)も、非常に多種多様なものが考案されているようです。

その中でも、六本すべてのピースが同じ形で、内部空間が(理論上は)ゼロという、特にエレガントで美しいデザインの組木を、六種の銘木(左から、ウェンジ、ボコーテ、パドウク、ケヤキ、サクラ、シナ)で作ってみました。

「美の幾何学」という本には、この六本組木の考案者は天洋という玩具会社だというような記述がありました。(参照「美の幾何学」伏見康治ほか著 P.61)

この本にも書かれていましたが、実際作るのは超大変。というのも、「キーとなるピースがない」という特異な組み方のため、要求される精度がめっちゃ高くなります。きついと組めないし、ゆるいとすぐに崩れてしまう、ということが他の組木よりも顕著に起きます。

木が湿度によって収縮膨張する(さらに膨張率に異方性がある)のもまた、やっかい。たいていの組木は、冬(乾燥した時期)にギリギリを狙って作ると、梅雨から夏(湿度が高い時期)になるとキーとなる木が膨張して、抜けにくくなったりするのですが、この六本組木は逆で、膨張すると緩くなってしまう。

昨年の冬に、組木屋デザインの「ずらし三本組木」とかと一緒に、かなり頑張って精度よく作ったのですが、今は(今年の夏は超暑いですね)残念なことにゆるゆるです。これだけは夏に作ればよかったかなと、ちょっと後悔。(逆に「ずらし三本組木」は、今はきつきつです。)

他にもいろいろ「その他の作品」があるのですが、それはまたいつか。今日のところはこの辺で。

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