組木屋ブログ(個別ページ)

 
最近の記事一覧

 

​カテゴリー

 

タグ

 
アーカイブ
  • 組木屋 上田

多機能ドアオープナーの設計

新型コロナウイルスが流行するご時世で、遅ればせながら、シンプルかつ多機能なドアオープナーを設計してみようと思いました。「ドアオープナー」というのは、ウイルスとかがいるかもしれないドアノブやエレベーターのボタンなどを直接触らずに操作できるような道具のことです。すでにいろいろな人が制作販売しているのですが、まだ改善の余地がありそうだなと思って。

そこで、2D-CADで設計しMDFで試作、さらに3D-CADでも作図して3Dプリントしてみました。

基本的な設計方針

・できるだけシンプルな形にしたい

・でも、いろいろな使い方ができる(サムターンも回せるとか)

・力をちゃんと伝えられる(ドアノブって意外と重かったりするので)

・使わないときにも邪魔にならない(持ちっぱなしでも違和感なく)

というような感じにしたいな、と。

2D-CADにて設計

基本的にはリングを中指に通して使うことを想定。でも人差し指を通してでも使用できる。

力を加えやすいように薬指のかかりを設置。さらに力を加えたいときには親指でも押せるように。

サムターンを回せるように中央にくぼみを設置。

手のひら側に握れる形。このとき外側から見たら、指輪をしているだけみたいに見えるように。

その状態でもエレベーターのボタンぐらいは押せるように。

ストラップを付けられるように穴をあけて。

という感じで考えながら作図しました。

MDFにて試作

拡大縮小して4種類のサイズを、MDFを糸鋸盤で切断して試作してみました。

私自身の中指にちょうど奥まではまるサイズを「Mサイズ」としました。

第二関節より奥まではめないのであれば、「SSサイズ」でも十分そうです。

実際に使用してみて

問題なく使用できそうです。

サムターンも回せました。(たいていのサムターンは、出っ張った形をしているので)

ただ、レバーハンドルを、回すのではなく押し下げるように力をかけてしまうと滑りやすいです。ゆっくり回す方向に力を加えるように気を付けましょう。親指を出っ張りにかけると力がノブに伝わりやすいです。内側にゴムなどの滑り止めを貼ると、より使いやすいかもしれません。

内側に握っていてもあまり違和感はないかと。で、外から見ると指輪っぽいかと。

ネックストラップやハンドストラップにつけても、サッといつでも使いやすいかと。

銘木にて試作

たまたま手元にあったウエンジという木でも試作してみました。見た目はカッコイイです。

がしかし木材には異方性があって、繊維方向と平行に割れやすいです。

フックの根本部分が構造的に弱点だろうと思い、そこが弱くならないよう繊維方向を決めて作ってみましたが、それだと先っぽの方が割れやすくなってしまいます。

天然の木そのままでは、ちょっと実用的な強度は得られないかな、と思います。

3D-CADにて作図

昨年の秋ごろから3D-CADを勉強中です。

2D-CADで制作した図面を3D-CADに取り込んで3次元の作図をしたかったのですが(方法はあるはずなのですが、私の環境では)うまいことできず、結局はじめから描き直しの作業になってしまいました。

中央部に「くみき→」のロゴを入れてみました。

とりあえずMサイズを作図したのですが、それの拡大縮小に苦戦中。これも方法は分かったのだが、なぜか上手くいかない。(全体的に拡大することはできたけど、厚さだけはそのままにしようとすると上手くいかない。。。まだまだ勉強中です。)(←別のソフトで読み込んだら、簡単に拡大縮小できました。)

3Dプリントサービスにて出力・販売

DMM.makeという国内の3Dプリントサービスにて出力してみました。(一番安いナイロンで注文してみて、注文からちょうど1週間で届きました)

出品申請をして、だれでも購入していただけるようにしました。 こちら(https://make.dmm.com/item/1199118/)のサイトから造形注文可能です。(とりあえずMサイズだけです)(←L,S,SSサイズも追加しました)

いろいろな素材が選択可能です。金属系はけっこう高額になってしまいますが。

素材と強度に関して

力の加え方を間違えなければ、試作品のMDFでも強度的に特に問題はなさそうでした。

ナイロンでも使用可能でしたが、変な力をかけたら壊れそうな不安はあります。

3Dプリントサービスで選択可能なものの中では、MJF(PA12GB)という素材が、ナイロンに次いで安価ですが、かなり強度は高いそうです。

力のかけ方にあまり気を遣わずに使いたいという人には、金属など強度の高い素材のものをお勧めします。

それでも、つり革にかけて使うなどの使用法は、非常時にはとても大きな力がかかりますし、安全にもかかわるので推奨はできません。通常使用であっても「テコの原理」がはたらくような力のかけ方をしてしまえば、どんな素材であっても変形・破損のおそれはあると思いますが。

タッチパネルの操作は?

タッチパネルの操作ができるかどうかは、そのセンサの方式と素材とによります。

「感圧式」のタッチパネル(ATMの操作画面やゲーム機などでよく使われている)では、接触の圧力に反応するので、どんな素材のものでも使用できます。

それに対して「静電容量式」のタッチパネル(最近のスマホはこの方式が多いよう)は、微弱な電流が流れることを感知するものなので、電気が流れる素材のものだけが反応します。電気が流れない素材のものでも、ホームセンターなどで売っている「電導スポンジ」「電導繊維」なんかの素材を貼り付けると、使えるようできたりするかもしれません。

「多機能」というのはちょっと大げさかもしれませんが

結果として、けっこういろいろな使い方ができるようになったのではないかと思います。

・ドアノブ(レバーハンドル)を回せる

・サムターンを回せる

・各種ボタンを押せる

・人差し指に入れても中指に入れても使える

・親指で力を加えられる

・内側に握ると外から目立たない(指輪みたいな見た目)

・ハンドストラップでもネックストラップでも使える

・キーホルダー的にも使える

・タッチパネル「感圧式」で使える

・タッチパネル「静電容量式」でも素材によっては使える

などなど。

中でも「親指で力を加えられる」形状であることと「指輪みたいな見た目」で持ちっぱなしにできることが、今までのものにはない特徴だと思います。

ほとんど思いつきで設計製作してみましたが、これが少しでも誰かのお役に立てれば幸いです。

© kumikiya 2017 - 2020