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  • 組木屋 上田

アフリカンブラックウッド


銘木図鑑の第14回。今回は黒檀と混同されがちな「アフリカンブラックウッド」の紹介。

「心材がほとんど真っ黒な、正統派ローズウッド。(黒檀の仲間ではありません)」

アフリカンブラックウッド 作品

【別名】グラナディラ・アフリカ黒檀アフリカンブラックローズウッド(ブラックローズ)・黒紫檀

【科目】マメ科 ツルサイカチ属 広葉樹

【組木屋作品】メビウスの指輪、ハーツ(4U)、蝶々ペンダントトップ、など

アフリカンブラックウッド 評価

【評価】マメ科ツルサイカチ属の木なので、正統派ローズウッドの仲間なのですが、その真っ黒な見た目のため、よく黒檀と混同されて、別名アフリカ黒檀と呼ばれていることがある。

ややこしいので、組木屋では、アフリカ黒檀の呼び名は廃止することを主張します。代わりにアフリカンブラックローズウッド(略してブラックローズ)もしくは黒紫檀という別名を提案したい。こちらの方が、樹種を正しく表しているし、なによりカッコ良くないでしょうか。

黒檀のばったもんみたいに扱うのではなく、紫檀・ローズウッドの仲間であることを知っていただき、正しく評価していただきたい、との想いです。

グラナディラという別名もあるのですが、ほかにマメ科(属は違う)の木で、グラナディロという樹種があるため、これまたややこしく、組木屋では不採用。

現状、流通量が割と多いようなので、お値段はそれほど高くないのですが、2017年にワシントン条約の附属書Ⅱに記載されて、輸出入規制がかかるようになったので、今後、段々と高価になることが懸念されます。

【色・匂・味】心材はほぼ真っ黒だが、紫がかった縞が見られるものもある。(個体によっては黄茶色っぽい縞の場合もある。白太の色から変わっていく途中だったのかも。)真っ黒な心材でも、木屑は微かに紫色を感じる。

白太は若干黄色っぽい肌色。白太と心材との色の差が非常にはっきりとしている。

一般的には真っ黒なほどランクが高いとされる材だが、濃い紫とか黄茶色の縞が見えるのもカッコよくて、私は好きです。

熱を加えると、心材はローズウッド系の匂いがする。白太はちょっと香ばしい匂い。どちらも常温ではほとんど匂わない。

味は特にしない。

アフリカンブラックウッド 白太

【加工性】めっちゃめちゃ硬い!糸鋸盤加工では(組木屋の設備と腕とでは、)厚さ10mmぐらいが限界で、それ以上厚い板の切断はしたくない。ドリル穴あけも困難。

白太部分もかなり硬く、心材の硬さと大差はないが、その質はかなり違う。白太ではほとんど油分を感じないが、心材部分では多く感じる。心材は熱が加わると木屑がもそもそしてくる。

特別焦げやすいわけではないが、硬いため刃がなかなか進まないので、熱が加わり、心材部分では樹脂が溶けて目に詰まる。冷えて固まると、取るのが非常に困難。

ドリルでも糸鋸でもルータービットでも、刃を鈍らせるのが早い。(刃の消耗が激しい。)

繊維方向による硬さの差は1.5倍程度。心材より白太を切削するときの方が、繊維を強く感じて、キックバックが生じやすい。白太部分は逆目も強く、切削方向によって、仕上げ面の綺麗さの差が大きい。

木工用の工具で加工するには限界に近い硬さだが、部位による硬さの差、クセ・ムラなどは少ないので、それだけが救い。

【仕上】加工の途中では、道管が結構目立つように感じるが、1500番まで磨くとほとんど目立たないくらいに綺麗になる。繊維方向と平行に加工した面では、道管は肉眼でも見えるが、繊維方向と直角の面(木口面)や細かな曲面では、よほど目を凝らさないと見えないと思う。とても綺麗になるからこそ、磨けば磨くほど逆に細かな凹みや小さな道管が気になってくる場合も。

左は普通のデジカメで出来るだけ近寄って撮った写真。中央と右のは、デジタルマイクロスコープでさらに寄って撮った写真。右の写真の右側にはクラックスケールの、0.10mm幅の線を当てています。

ローズウッドの仲間だが、仕上がりは黒檀と確かによく似ている。真っ黒なものはマグロや本黒檀・青黒檀の黒いものとの見分けは困難。紫がかったものは、キングウッド(王道ローズウッド)の色が濃いものにそっくり。←同じマメ科ツルサイカチ属なので、これは当然かも。

組木屋の作品では、メビウスの指輪とハーツ(4U)はヤスリで1500番まで磨いて無塗装。蝶々のペンダントトップは400番まで磨いて、蜜蝋クリームで仕上げています。←見た目の色合いはほとんど同じになるのですが、研磨のみで仕上げる方がだいぶ手間がかかります。

【その他】一般的には、黒い心材部分を利用して楽器材としてよく使われているらしい。組木屋では、白太も使って、アクセサリー系の作品を作っています。

【2018年12月 指輪の拡大写真追加】

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